経皮毒について~化粧品や洗剤の成分が皮膚に入る経皮吸収率は?~
経皮吸収とは?
経皮吸収とは、皮膚から薬剤や化学物質が吸収することです。
皮膚から吸収する?と想像できない方もいるかもしれませんが、実際、医療現場では経皮吸収型の薬は存在しています。
狭心症の方のためのニトログリセリンや喘息の治療のためにツロブテロールテープ、禁煙したい方のためのニコチンパッドなどがそうです。
これらは、分子量の小さい化学物質をしみ込ませて、有効な薬剤成分を体に引き込ませるのですが、飲み薬よりも即効性があります。
このことからも、皮膚から化学物質が吸収されることが分かります。治療のためには仕方がありませんが、私たちが普段使っている日用品の多くにも、化学物質が使われていて、皮膚から吸収されていると思うと恐ろしくなります。
体の部位別 経皮吸収率
経皮吸収される確率は、体の部位によって異なります。皮膚のバリア機能を担っている角質層の厚さに違いがあるためです。
当然、角質層が厚い部位は経皮吸収されにくく、薄い部位は、経皮吸収されやすくなります。
下図は、腕の内側を「1」とした場合の吸収倍率です。
経皮毒とは?
経皮毒とは、日頃使っている日用品に含まれている化学物質が、皮膚から吸収されて、体内で有害な作用を引き起こしてしまうことです。
経皮吸収された化学物質はどこへ?
皮膚の角質層を通り抜けて、経皮吸収された化学物質は、細胞内に染みわたります。
隣り合った細胞を伝わって内部に侵入する場合と細胞と細胞の隙間をぬって体内に入ってくる場合があります。
そうして経皮吸収された化学物質は、そのまま皮下組織に蓄積するか、少しずつ血管やリンパ管などを通して、体の各器官に運ばれます。
こうした化学物質は、すぐに体外へ排出されればいいのですが、皮膚から侵入した化学物質は、長期間皮下組織に留まって、ゆっくりと体外に排出されます。
排出されるからいいのでは?と思われるかもしれませんが…
私たちが使っている日用品のほとんどに有害な化学物質が含まれています。
そのため、毎日毎日、なんらかの有害物質が体内に入り込んでくるわけですから、継続的に蓄積されているのです。
経皮毒の影響
敏感肌やアレルギーのある人で、化粧品や洗剤で肌トラブルを起こしたことがあると、配合されている成分に気を付けますが、そうでないと、なかなか普段使っている日用品の成分を気にすることがありません。
そのため、それらが「毒」であることにも気づきません。ですが、体に有害な化学物質は、私たちの日常生活に溢れていて、恐ろしいことに、体内に蓄積されているのです。
では、経皮毒がどんな影響を及ぼすのか見ていきましょう。
肌のバリア機能を破壊
お肌には、乾燥や紫外線から守ったり、アレルゲン物質の侵入を防いだりする「バリア機能」という働きがあります。
そのバリア機能の働きをしているのが、皮膚の一番外側から2つ目の層、角質層です。
洗剤や洗顔料、クレンジング剤に含まれている「合成界面活性剤」や「溶解剤」は、このバリア機能を溶かしてしまう威力があります。健康な肌は、皮膚の上で水分が弾けますが、バリア機能が壊れた皮膚の表面では、水がじわ~っと広がります。
バリア機能が破壊されると、皮膚が乾燥する、外部刺激に弱くなり敏感肌になる、潤いがなくなりシワが増える、ターンオーバーが乱れてシミが残りやすくなるなど、美肌にとっても悪影響なのです。
アレルギー
化学物質が体内に吸収されて、一番症状として現れやすいのが「アレルギー症状」です。
体内で作られた抗体物質が過分に反応すると、アレルギー症状が出ます。アレルギー症状については、化学物質の特性や吸収された量や濃度によって、反応が異なります。
また、吸収した人の体質や体調にもよって違いがあります。
経皮吸収は、長期間かけて体内に蓄積されるため、一定量溜まると突然症状が現れるという場合もあり、原因が分からないということもよくあります。
がん細胞の発生
化学物質の中には、発がん性物質も含まれています。これは、体内で留まった箇所で、ガン細胞を発生させてしまう物質です。
発がん性が疑われる化学物質は、私たちの身近に100種類以上も存在していると言われています。
脳への影響
化学物質の性質は、脂肪に溶け込みやすい脂溶性です。人間の脳はの60%は脂肪でできているため、体内に吸収された有害な化学物質は、脳に蓄積されやすい傾向にあります。
脳に蓄積されると、脳細胞がその影響を受けて、学習障害、多動症、自閉症、適応障害などにも関与しているのではと言われています。
婦人科系の病気
生理用ナプキンを布ナプキンに変えると、PMS症状が改善されたという話もあるように、婦人科系への影響も問題になっています。
特に、性器は、腕の内側の吸収率の42倍もあるため、ナプキンやボディソープなどの有害物質を吸収しやすく、その影響は大きくなるはずです。
気を付けたい毎日使う日用品
あらゆる日用品に有害な化学物質が含まれているので、すべてを排除することは正直難しいと思います。
安心安全なものにこだわると、価格も上がるため、家計を圧迫される場合もあるでしょう。ですが、自分自身はもちろん家族の健康を考えると、使うものには気を付けたいですね。
まずは、できるところからでもいいので、経皮毒の危険性があるものを排除していきましょう。
ベビー用品にも気を付ける
「ベビー用だから安心」と思いがちですが、実際は、ベビー用の洗剤やローションなどにも化学物質が使われています。
赤ちゃんは、まだ角質層が完全でないため、皮膚吸収率がとても高いのです。臓器も未発達なので、経皮吸収された化学物質は体内に残留しやすく、アレルギー症状が出ることも少なくありません。
おしっこやうんちをする赤ちゃんのお尻や性器を清潔にするために使う「お尻ふき」にも、浸透力が高く、他の有害物質をも体内に運んでしまう「プロブレングリコール」が含まれています。
特に、肛門や性器からの吸収率は高いので、お尻ふき選びには注意が必要です。
最後に
あらゆるものに化学物質が使われているので、すべてを避けることはできません。
ですが、毎日使うもの、家族が使うものと、少しずつ見直していくことで、健康な体、肌が戻ってきます。
もし、肌荒れやアレルギー症状などにお悩みでしたら、身の回りで毎日塗ったり使ったりしている日用品を見直してみましょう。
当サロンでも、天然100%のオーガニックコスメを取り扱っております。毎日使っている化粧品が、実は、肌トラブルの原因になっていることも考えられます。
使用感や肌に合うか心配という方には、手に取っていただけるよう、ご相談も承っております。ぜひご利用くださいませ。
見てわかる!図解 経皮毒 薬学博士 竹内久米司・稲津教久 監修/山下玲夜 著