尾崎まり江
肌内部の水分保持や外部刺激から肌を守る「バリア機能」の働きを担っているセラミド。
今回は、セラミドの種類について、また敏感肌や乾燥肌の方が使うべき種類は何か?について解説しています。
この記事の監修にご協力いただいたドクター
私のクリニック目白 院長 平田 雅子先生
1960年生まれ
医学博士、皮膚科認定専門医、日本医師会産業医、国際中医薬膳師
日本大学医学部卒業
東京医科大学付属病院勤務
東京医科大学付属八王子医療センター助手
同大学助手を退職後、女性専門医療に携わる。臨床の第一線に立ち、毎日500名以上の患者様の診療にあたる。
2003年、医療法人社団 育生会 私のクリニック目白 開設 理事長兼院長
皮膚を通して全身を診る女性のためのクリニック。ただ薬を出すだけではなく、食事や生活面のアドバイス、再生医療、美容治療など、元気で美しくなるために、患者様の健康生活をデザインするクリニックです。よくお話を伺って診察いたします。
医療法人社団 育生会 私のクリニック目白
〒171-0031 東京都豊島区目白1-4-1 JR東日本ホテルメッツ目白1階/JR山手線 目白駅 徒歩1分
Tel: 03-5992-5550 電話受付時間:10:30-19:00 休診日:火・日祝
https://www.watashino.jp
保湿成分「セラミド」について
セラミドという保湿成分が、お肌のどこにあるのか?どんな働きをしているのか?について解説していきますね。
4つの層から成るお肌の表皮の一番上の層を「角質層」と言います。お肌の水分を保持したり、外部刺激から肌を守るバリア機能の役割を果たしてくれています。
一番下の層「基底層」から新しい細胞が生まれ、形を変えながら角質層まで押し上げられるときには死んだ細胞になっていて、剥がれ落ちるまでの約2週間は、角質層で水分保持、バリア機能の役割を果たします。
その角質層は、細胞間脂質と天然保湿因子がパズルのように、きちんと整列した「ラメラ構造」になっていることで、本来の役割を果たすことができます。
セラミドは角質層内の「細胞間脂質」の約50%以上を占める成分です。セラミドが不足した肌は、ところどころ欠けたパズルのようになり、スカスカな状態になります。
セラミドの種類と特徴について
セラミドには合成、植物由来、動物由来など、さまざまな種類があります。どんなセラミドがあるか解説していきますね。
人間の皮膚にあるセラミドと同じ構造のヒト型セラミド
- セラミド1(EOP):水分保持機能、外部刺激から肌を守るのに強い。滑らかで柔らかい肌を保つ。
- セラミド2(NS):皮膚にあるセラミドの中で約21%を占めているセラミドで、一番保湿効果が高くバリア機能をサポートしてくれる。
- セラミド3(NP):水分保持機能があり、シワを浅くしてくれる。保湿効果はセラミド2くらいある。
- セラミド6Ⅱ(AP):水分保持機能があり、皮膚のターンオーバーを促進し、シワを浅くしてくれる。
※アルファベットは新表示名
ちなみに、セラミド+数字の表示は旧表示名です。表示名称は「日本化粧品工業連合会」が和名を管理しています。和名ともう一つ「国際名称」があります。
全成分表示に記載されている名称は、「日本化粧品工業連合会」でつけられた名前が優位なので、それによって和名が決定しています。
そもそもセラミド1、セラミド2などの和名は発見された順につけられていました。それが、アメリカの構造式の読み方の略字に統一されることになり、セラミド1は「セラミドEOP」と表示されています。
今でも旧表示名のままで表示されているメーカーもありますし、セラミドEOPやセラミドNGなど新表示名で記載されているメーカーもあります。
《ヒト型セラミドの旧表示名と新表示名》
- (新)セラミドEOP:(旧)セラミド1
- (新)セラミドEOPセラミドNSまたはNG:(旧)セラミド2
- (新)セラミドEOPセラミドNP:(旧)セラミド3
- (新)セラミドEOPセラミドAP:(旧)セラミド6Ⅱ
- (新)セラミドEOPセラミドEOS:(旧)セラミド9
植物由来のセラミド
《コメヌカスフィンゴ糖脂質》
米や米ぬかから抽出される糖セラミド(グルコシルセラミド)を含むセラミド疑似体でセラミドに似た働きをします。
動物由来のセラミド
《ウマスフィンゴ脂質》
馬油から少量のみ抽出できる糖セラミド(ガラクトシルセラミド)を含むセラミド疑似体で、セラミドに似た働きをします。
疑似セラミド
セラミドに似た働きをする化学的に合成された「疑似セラミド」。安価でプチプラコスメに配合されています。ヒト型セラミドほどの効果は期待できません。
《疑似セラミド》
- ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)
- ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド
- セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド
どのセラミドが保湿効果に優れているか?
ヒト型セラミド、植物由来、動物由来、疑似セラミドと種類のあるセラミドですが、どれが一番、保湿効果に優れているか?というと、
「ヒト型セラミド」
です。
ヒト型セラミドは、私たちの皮膚に存在するセラミドと同じ構造で作られているため、肌になじみやすく、肌トラブルも起きにくいのが特長です。
セラミドを補給して、肌の立て直しを目的とするのであれば、ヒト型セラミド配合の化粧品を選ぶようにしましょう。
ヒト型セラミドを選ぶときのポイントは?
ヒト型セラミドを選ぶときは、全成分表示を見ましょう。
セラミド1、セラミド2などの数字が記されている場合、新表示名のセラミドEOP、セラミドNGと、アルファベットで表示されている場合があります。
また、材料が多い順に配合されているため、もし多く入っているものを選びたいのであれば、セラミドの表示が前の方に書かれているものを選びましょう。
また、下記のようにセラミドの種類が多く配合されているのも選ぶポイントです。
※画像は、エトヴォスの保湿美容液の全成分表示を引用しています。
ETVOS(エトヴォス)ヒト型セラミド配合化粧品モイスチャーラインの口コミレビューよくある質問
プチプラコスメでおすすめのセラミド化粧品はありますか?
セラミドは化粧品の原料の中でも、高価なものです。そのため、プチプラコスメに配合されていたとしても、効果を感じられるほどの量は入っていないのが現状です。
まとめ
今回は、セラミドの種類について解説しました。
乾燥や肌荒れしやすい敏感肌は、シワやたるみなど老化肌を加速させます。乾燥くらいと軽視せずに、しっかり保湿ケアを行いましょう。
そのための化粧品選びのポイントに、「ヒト型セラミド」が配合されているか?も確認してみてくださいね。