《医師執筆》女性ホルモンとは?働きや種類などの基礎知識を現役婦人科医が解説! | りびはだ
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《医師執筆》女性ホルモンとは?働きや種類などの基礎知識を現役婦人科医が解説!

女性ホルモンとは

今回は、お肌とも深い関係のある「女性ホルモン」について、現役産婦人科医師の加藤先生が解説してくれています。

この記事はこんなあなたにお勧めします!

  • 女性のからだについて知っておきたい
  • 女性ホルモンの役割について詳しく知りたい
  • 今後の健康管理について考え始めている
  • なんとなく体調に変化を感じている

など女性特有の悩みや問題点、あるいは手軽にできる対策についてもう一度おさらいしぜひ今からでも始めてみてください。

「女性ホルモン」について

女性ホルモン

女性のからだは主に2つのホルモンバランスの調整で成り立ち、健康を維持しているといえるでしょう。女性ホルモンと私たちは日頃よく耳にするものの、正直詳しく知らない、わからないという女性も多くいるのではないでしょうか?

女性ホルモン

女性特有の疾患はこの2つのホルモンバランスの乱れや崩れから起こる場合もあります。

女性にとって重要な2つのホルモンとは、「エストロゲン」「プロゲステロン」というものです。

これらは決して妊娠や生理だけを成り立たせているだけではなく、心身のはたらき、自律神経、代謝、免疫など全身の機能に大きく関わるものであり、女性の一生をコントロールするホルモンです。

女性ホルモンのバランスを整えたり、活性化したりすることで健康な毎日を過ごしていけますし、ホルモンバランスの乱れを防ぐ対策を知っておくことで、今後の健やかで美しく魅力ある女性でいられるはずです。身近で手軽にできる対策方法を一緒に学んでいきましょう。

まずホルモンについてもう少し詳しくみていきましょう。

<エストロゲンとは>

  • 女性らしいからだを形成
  • 髪や肌の潤いを維持
  • 脳や自律神経の働きを守る
  • 記憶や集中力、認知機能を維持
  • 骨にカルシウムを貯蓄し骨密度を保つ
  • コレステロールの増加を抑えるなど基礎代謝を維持

<プロゲステロンとは>

  • 基礎体温を上昇させる
  • 妊娠の維持を助ける
  • 体内の水分を保つ
  • 乳腺を発達させる
  • 子宮内膜を整えてくれる

時にこうした作用が生活に支障をきたすPMS(月経前症候群)となることもあります。

これら女性ホルモンは、下図のように思春期から急速に分泌量が増加し、平均的には閉経期といわれる50歳前後で卵巣機能が低下するのとともに分泌量は減少します。

女性にとってライフサイクルが思春期、性成熟期、更年期、老年期と変化していくのも、これら女性ホルモンの影響であり、女性の一生をコントロールするといっても過言ではありません。

産婦人科医師 解説 女性ホルモンとは

ではもう少し細かいサイクルで女性ホルモンの分泌変化をみてみましょう。

これら女性ホルモンは、月経と連動し一定の周期でそれぞれの分泌量が変化しているのがお分かりになると思います。

産婦人科医師 解説 女性ホルモンとは

まず生理後からエストロゲン分泌量は増加し、排卵直前にピークを迎えます。一方、排卵直前から徐々に増加しだしていたプロゲステロンは排卵後にさらに増加し、次の生理前にはエストロゲン、プロゲステロンともに減少します。この周期は個人差こそありますが、およそ28日といわれています。

さらに卵巣からこの2つのホルモンが分泌されるには、下図のように脳の視床下部や下垂体が卵巣に命令を出してホルモンの分泌を可能としているのです。

産婦人科医師 解説 女性ホルモンとは

画像引用元:花王ヘルスナビ

ですから、視床下部、下垂体、卵巣のいずれかが機能異常をおこしてしまうと、ホルモンバランスは崩れてしまうほどデリケートな調節機構なのです。

視床下部や下垂体は過度なストレスや、無理なダイエット、激しい運動、偏った食生活、運動不足、服用中の薬などによりダメージを受けてしまい、思春期のホルモンバランスの乱れの大きな要因といえるでしょう。

女性ホルモンは、女性らしさに大きく関連し、一生でティースプーン1杯分しか分泌されていないといわれています。その限られたホルモンが女性の美と健康を左右しているわけですから、若い時にホルモンバランスの乱れをおこしてしまうことほどもったいないことはありませんよね。

このような女性ホルモンの分泌の仕組みと役割をしっかりと知り、対策方法を考え、今後の自身の健康管理に役立てていきましょう。

月経について

女性ホルモン 月経

先述しましたように、女性ホルモンの一連の変化のなかで「月経」がおこります。ホルモンバランスが維持できているかどうかのバロメーターとも言えます。

周期や経血量の正常値を知っておき、正常値と大きく異なる状態が長く続く場合は、何らかの病気との関連もあるため医療機関へ受診されたほうがよいでしょう。

月経周期について

「月経周期(月経初日~次月の月経初日までを指します)」は、25~35日周期

多少、月ごとにばらつきがあってもこの範囲内であればあまり神経質になることはないでしょう。

経血量について

「経血量」はひとつきの月経で50~180mlとされています。

月経の日数について

「日数」は、3~7日程度とされています。正常な場合でも、月経期間以外で出血がありうる時期があります。それは、ホルモン変化が大きい排卵時期と子宮内膜が剥離し始める月経直前です。

ほぼ毎月こうした月経時期以外の出血に気づくこともありますし、たまにしかないということもありますが、月経時期と比べて出血が少量で、数日でおさまる場合はほとんど心配はないでしょう。

月経については、かなり個人差はあるため、過剰に悩んだり心配されたりする必要はありませんが、こうした正常値と比べ大きく異なったり、以前に比べて大きく変化してきているなどの場合は一度医療機関への受診をすすめます。

おりものについて

女性ホルモン おりもの

おりもののほとんどは子宮や膣からの分泌物です。透明か白っぽい色が正常です。

排卵時期は精子の侵入を助ける働きがあるため透明なおりものが増えます。また性的興奮や膣内の洗浄作用によりおりものの分泌が多くなる場合があります。

通常ホルモンバランスが整っている場合、膣内は酸性で保たれているため、殺菌作用が十分にあり、潤いもあります。

しかし、加齢、睡眠不足、疲労、栄養不足、服用した薬の影響などの体調不良や老化により膣内の酸性がアルカリ性へと傾いてしまうと、おりものが変化したり膣内から異臭をきたす場合があります。

そのため、におい、色、量がいつもと異なったり、かゆみ、しみるなどの症状が伴うなど起きやすくなることがあります。いずれも数日でおさまってしまう場合は問題ありませんが、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。

このようにおりものが教えてくれる体調のサインを見逃さず変化もチェックするようにしましょう。

骨と女性ホルモン

女性ホルモン 骨

エストロゲンには骨のカルシウム量を維持してくれる働きがあります。

そのためホルモンバランスが乱れたり、若いころから骨量が保たれていないと、更年期以降骨粗しょう症となり、骨折、転倒、猫背など日常生活の動作ができず寝たきりとなるリスクが高くなります。

女性の骨量は20歳ころをピークに40代前半まで高い値を維持します。しかし年齢とともにエストロゲンの分泌量が減少するとともに骨量の低下、骨密度の低下が起こります。

しかし、若い世代でも過度なダイエットや偏った食生活、運動不足などにより、カルシウム不足やエストロゲン分泌量の低下により骨量が少なくなり、早くも骨の老化を起こしてしまっている女性が増えてきています。その結果悪い姿勢や、腰痛、背中の痛み、肩こりを起こす原因となっています。

体内は、カルシウムの血中濃度を一定に維持しようとします。そのためカルシウム摂取量が不足すると骨からカルシウムが血液中へ溶け出してしまい、丈夫な骨が維持できません。

女性は男性に比べると体型的にも骨の影響は受けやすく、さらに年齢とともにエストロゲンの減少もあるため、より一層若いころからの丈夫な骨の保持は非常に重要です。適度な運動、十分なカルシウム・ビタミンDの摂取、ホルモンバランスの維持は大切で、骨の老化を防ぐようにしましょう。

女性ホルモンと脂肪

女性ホルモン 脂肪

脂肪と聞くと、悪いイメージを思い浮かべてしまう人も多いことでしょう。しかし悪いばかりとはいいきれません。

そもそも女性ホルモンの材料はコレステロールであり、脂肪組織も女性ホルモンの産生を担っています。

そのため過剰摂取は生活習慣病や乳がん、子宮体がんのリスクが上昇するため禁物ですが、一方で中性脂肪やコレステロールが低すぎるのも問題です。無理なダイエットはしないように注意しましょう。

女性ホルモンバランスを守る方法

女性ホルモン 産婦人科医師 解説

女性ホルモンが女性の一生で重要な働きを持つことはここまでお話ししました通りです。しかし年齢ととも分泌量は必ず減少してしまいます。そして増えることもありません。

しかし重要なのは年齢に合ったホルモン分泌量の維持、女性ホルモンの減少に対する対策です。減少した女性ホルモンそのものを増やすことはできませんが、女性ホルモンの役割をしっかり理解し、こうした対策を早めに始めることで健康な毎日を送っていただき、元気な長寿を目指しましょう。

①バランスの良い食事

女性ホルモンであるエストロゲンに類似した化学構造を持つ、大豆イソフラボンの摂取が必要です。納豆、味噌、豆腐などを積極的に摂取しましょう。また栄養をしっかり吸収するには日々の腸内環境を整えておかなくてはいけません。良い腸内細菌を持つためにタンパク質、野菜、ビタミン類や食物繊維、良質な脂分の摂取が大切です。

②適度な運動

体を動かし血行を良くすると緊張やコリがほぐれ、ストレス緩和やリラックスにつながるため、ホルモンバランスの維持に働いてくれます。先述した骨量の維持のためにも重要です。

③睡眠

睡眠不足や質の良くない睡眠ではホルモン分泌を低下させてしまったり、自律神経の乱れ、気力や集中力の低下、肥満などをもたらしてしまうため、ホルモンバランスの乱れを招きます。アロマやハーブの活用や入浴などで1日の心や身体のリラックスをはかったり、夜間は照明を落とす、スマホやテレビを就寝前にはみないなど工夫をし、良質な睡眠をはかりましょう。

④メリハリのある生活

女性ホルモンには認知機能や集中力、記憶に働く効果もあります。新しいことへの意欲や挑戦、ドキドキワクワクといった感情ドーパミンという物質を分泌しますが、このドーパミンは女性ホルモンの分泌を司る視床下部を刺激するため女性ホルモンの分泌に効果的です。好きな音楽や、本、映画をみたり、新しい趣味を見つけたり、友人たちと会話することなど、毎日の生活に取り入れたり経験することも重要です。

⑤冷え予防

女性はもともと男性に比べ筋肉量が少ないため冷えやすい体質であります。さらにホルモン分泌の変化も冷えが起きやすい原因となっています。体の冷えは卵巣の機能を低下させたり、血管の収縮により動脈硬化などさらなる血流不足を招きます。運動はもちろん、無理なダイエットを避け、からだをあたためる飲み物や食材を積極的に摂取したり、シャワーだけではなく湯船につかるなどの工夫も重要です。

⑥意外と忘れやすい「腎」の大切さ

東洋医学における漢方でいう「腎」は腎臓はもちろん、生殖器や泌尿器を表しています。腎とからだの老化やとの関連は数々の研究報告があります。腎のはたらきが低下すると、月経異常、だるさ、骨量低下、不妊、肌や髪の潤い不足など身体の老化を招いてしまいます。上述したような対策でしっかり「腎」を大切にしていきましょう。

まとめ

女性ホルモンの役割を知っていただけましたか?驚くほど全身に作用していることに気づいていただけたのではないでしょうか。

私たちの毎日の生活習慣は自分の将来に結びついています。近年日本女性の寿命はどんどん延び、まもなく90歳を超えるといわれていますが、このうち女性ホルモンに十分に守られている期間はその半分にも満たないのです。

この女性ホルモンに守られている時期に、ホルモンバランスを崩してしまうことほどもったいないことはありません。女性ホルモンをしっかり分泌させ、活用し、健康的で魅力的な美しい女性で毎日を過ごしていきたいものです。

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