今回は、生理前の肌荒れについて、現役産婦人科医師が原因や対処法について解説します。
この記事はこんなあなたにおすすめ!
- 生理前になると肌の調子が悪くなる方
- 肌の不調以外にも生理前にイライラ、頭痛、便秘などが気になる方
- PMS(月経前症候群)が知りたい方
生理前後は、メイクのりが悪くなったり、ニキビができやすくなったり、なにかとお肌に不調を感じる方が多いですね。
この時期だけと思っていても、就職のための面接や大事なデートなど、避けられない用事が重なると憂鬱です…少しでも、生理前後の肌荒れを予防したい、そんな声に現役産婦人科医師が対処法を解説していきます。
生理前に肌荒れする原因とは?
女性ホルモンと肌の調子には密接な関係があります。
生理~排卵期までの「卵胞期」にはエストロゲンの分泌が排卵に向かって増えていき肌の弾力やヒアルロン酸、コラーゲンの生成に作用するため、肌にはうるおいやはりを与えてくれます。
一方、排卵後~次の生理までの「黄体期」にはプロゲステロンが分泌されます。
このプロゲステロンは妊娠の維持のためには重要な役割を果たしますが、皮脂の分泌を増加させたり、肌を本来の弱酸性ではなく、中性~弱アルカリ性へと変化させ肌のバリア機能が低下するため、この黄体期はニキビや吹き出物ができやすく肌の不調をもたらします。
さらにプロゲステロンは肌荒れ以外にも便秘やむくみ、頭痛、いらいらなどの症状ももたらしてしまいます。
生理前の肌荒れを予防する対策方法とは?
生理前に肌荒れしてしまう方は、乾燥しないように、また治癒のためターンオーバーを促進するために「保湿」をこころがけます。化粧水、クリーム、美容液をしっかり使用します。
そのほかにも、下記のようなことに気を付けましょう。
①睡眠をしっかりとる
肌のダメージを修復するために新陳代謝を低下させないようにしましょう
②栄養をしっかりとる
肌を作るたんぱく質、肌荒れを防ぐ抗酸化力の高いビタミンA、C、Eをとるようにしましょう。
ビタミンAはウナギ、レバー、カボチャ、ホウレンソウに多く含まれます。ビタミンCは果物に、ビタミンEはアーモンド、茶、小松菜に含まれていますが食品だけでは不足しがちなためサプリメントを意識的にとるようにしましょう。
ただし皮脂分泌の多い時期なので、高カロリー、高脂肪は控えましょう。
《生理前の肌荒れ対策におすすめの栄養素》
- ビタミンA:肌再生、修復力を亢進します。ペアA錠(ライオン)
- ビタミンB群:疲労回復、肌や粘膜の健康を促進します。チョコラBB(エーザイ)
- ビタミンC、E:抗酸化、抗炎症に作用します。マルチビタミン&ミネラル(DHC,ディアナチュラなど)
- コラーゲン:保湿作用があります
③運動やストレッチをして体を動かしましょう。
全身の血行を促進したり、ストレス発散になり免疫力も向上したり体の冷えも予防できます。
④禁煙をしましょう。
喫煙することで、体内のビタミンCが消耗するなど、お肌にとって悪影響が多いため、健康はもちろん美容のためにも禁煙されることをおすすめします。
⑤ハーブティや好きなアロマでリラックスしましょう。
ハーブティではレモングラス、ペパーミントをアロマは鎮静作用のあるセージ、カモミール、スイートオレンジなどがおすすめです。
生理前の肌荒れ対策におすすめの漢方は?
PMSに対する治療にも有効です。加味逍遙散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、桃核承気湯、ヨクイニンがよくつかわれます。
主に肌荒れの症状のみであれば皮膚科に受診がよいでしょう。しかし肌荒れ以外のPMS症状がある場合は婦人科受診がよいでしょう。
生理前に肌が荒れやすい人のためのスキンケア
黄体期は肌が敏感なため以下のことに気を付けましょう。
①紫外線の防止は必要なので全くメイクをしないということはよくありません。
刺激の低いUVカット数値の控えめなものを使用したり、油分の多いファンデーションに使用は控えるほうがよいでしょう。
ファンデーションが厚塗りにならないよう、アクネケアコンシーラー(DHC)や肌色ニキビ治療クリーム(クレアラシル)もおすすめです。
②ブラシやスポンジなどメイク道具は清潔なものを使用しましょう。
毎日使用するブラシやスポンジには、目に見えない雑菌が繁殖しています。せっかく洗顔した清潔な肌に、このようなメイク道具を使うことで、雑菌が肌に付着してしまう可能性があります。
定期的に、中性洗剤や専用の洗剤などで洗浄し、しっかり乾かしてから使うようにしましょう。
③肌が過敏な黄体期に初めて使用する新しい化粧品は使用しないようにしましょう。
いつもは敏感な肌ではなくても、黄体期は敏感になりがち。新しい化粧品を使用する際は、肌に合わない成分だけでなく、いつも使用している成分でも肌荒れしやすいため、黄体期を過ぎてから使用するようにしましょう。
④厚塗りをしないようにしましょう。
薄付きでカバー力のあるものを選び、洗顔で落ちにくいものは避けましょう。
生理前の肌荒れに関するよくある質問
生理前の肌荒れを病院で診てもらうには皮膚科?婦人科?
症状が肌荒れだけであれば皮膚科受診で構いませんが、PMSに関与した肌荒れ以外の症状が伴う場合は婦人科への受診をおすすめします。
肌荒れしているときメイクはしてもいい?
紫外線の防止は必要なので全くメイクをしないということはよくありません。
刺激の低いUVカット数値の控えめなものを使用したり、油分の多いファンデーションに使用は控えるほうがよいでしょう。夜はメイク落としは忘れずに、また、メイク道具の清潔にも気を付けましょう。
ピルは生理前の肌荒れを和らげるのに効果はありますか?
低用量ピルを使用することで排卵を抑制し、プロゲステロンの分泌を低下させることで肌荒れだけではなく、PMSの症状に対し治療します。皮脂腺活動を抑制し、にきびをできにくくします。また抗男性ホルモン薬を同様の目的で使用することもあります。
これは肌荒れが長く続く場合や広範囲にみられる場合には有効な治療法です。医療機関でご相談ください。
命の母やチョコラBB、プレフェミンなど市販の薬は効果がありますか?
医療機関へすぐに行けないとき、あるいは医療機関には行きづらいとお思いの方のお助けに、市販薬を利用してみるのもよいでしょう。
チョコラBBに含有されるビタミンB群を補給することは肌の修復、再生力に効果的です。肌荒れが気になり始めたときに使用するとよいでしょう。
また、肌荒れ以外のPMS症状も気になる方は、命の母やプレフェミンなどPMSに対する市販薬も効果があると思われます。命の母には、先ほど示した漢方の3種(当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸)の主成分を組み合わせてあります。またプレフェミンはチェストベリーというハーブの成分が含まれPMS症状を抑制する作用があります。
生理前の肌荒れ対策におすすめのアロマを教えてください
ハーブティや好きなアロマでリラックス効果をもたらすことも可能です。
ハーブティではレモングラス、ペパーミントを、アロマは鎮静作用のあるセージ、カモミール、スイートオレンジなどがおすすめです。
ただし効果には個人差はありますので一度に長時間、大量には使用しないようにしましょう。体調にあわせて使用するようにしてください。
まとめ
体調や心身の不調だけではなく肌の調子も生理周期によって波があります。自分の卵胞期や黄体期を知ることで、周期にあわせた過ごし方や肌の手入れ、化粧品を変えてみるなどし健康で美しく過ごせる工夫をしてみましょう。