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【医師監修】肌のバリア機能とは?間違ったスキンケアが肌トラブルを招いているかも?

ヒト幹細胞培養液配合DDSエクソソーム導入ジェル

尾崎まり江

こんにちは、神戸でエステサロンを運営、エステティシャン・セラピスト歴20年の尾崎まり江です。

今回は、お肌の基礎知識として知っておいてほしい「バリア機能」に関するお話です。YouTubeでも解説しています。

https://youtu.be/xvWMhSHxang

敏感肌、いつも肌荒れや乾燥が気になるという方には必見です。

医学博士 平田 雅子(ひらた まさこ)この記事の監修にご協力いただいたドクター

私のクリニック目白 院長 平田 雅子先生

1960年生まれ
医学博士、皮膚科認定専門医、日本医師会産業医、国際中医薬膳師

日本大学医学部卒業
東京医科大学付属病院勤務
東京医科大学付属八王子医療センター助手
同大学助手を退職後、女性専門医療に携わる。臨床の第一線に立ち、毎日500名以上の患者様の診療にあたる。
2003年、医療法人社団 育生会 私のクリニック目白 開設 理事長兼院長


皮膚を通して全身を診る女性のためのクリニック。ただ薬を出すだけではなく、食事や生活面のアドバイス、再生医療、美容治療など、元気で美しくなるために、患者様の健康生活をデザインするクリニックです。よくお話を伺って診察いたします。

医療法人社団 育生会 私のクリニック目白
〒171-0031 東京都豊島区目白1-4-1 JR東日本ホテルメッツ目白1階/JR山手線 目白駅 徒歩1分
Tel: 03-5992-5550 電話受付時間:10:30-19:00 休診日:火・日祝
https://www.watashino.jp

肌が本来持っている3つのバリア機能とは?

角質層 バリア機能

お肌の構造とバリア機能について知っておきましょう!

まずは、お肌の構造、そして、肌が本来持っている「バリア機能」について解説していきます。

私たちのお肌は、表皮と真皮層から成り立っていて、表皮はさらに「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4つの層から成り立っています。

角質層 肌断面図 バリア機能

ほこり、花粉などの肌に刺激となる物質の侵入を防いだり、乾燥や紫外線から肌を守る、また、お肌の水分を蒸散させないようにしているのが「バリア機能」という、肌が本来持っている機能です。

肌図

その役割を担っているのが「角質層」、そして角質層を覆っている「皮脂膜」さらに、皮膚表面に棲みついている「皮膚常在菌」です。

では、お肌に本来備わっている3つのバリア機能がどういうものか見ていきましょう。

①第一次バリア「皮脂膜」

皮脂膜は、毛穴にある皮脂腺から分泌される皮脂で、油、脂肪酸、水、弱い界面活性剤などの成分でできています。

天然の保湿クリーム バリア機能

皮脂に含まれている脂肪酸や脂肪酸エステルが、天然の界面活性剤として、汗腺から分泌される汗と皮脂を乳化させます。

これが、天然のクリームです。この天然のクリームが肌を外部刺激から守ってくれたり、必要な水分の蒸発を防いでくれます。

ただ、年齢とともに皮脂分泌量が減少するため、この天然のクリームの代わりになるのが、化粧品の「保湿クリーム」です。

②第二次バリア「角質層」

第二次バリアと呼ばれるのが「角質層」です。詳しく解説すると、角質層は実は「古い死んだ細胞」なのです。

基底層で新しい表皮細胞が生まれると、約14日かけて角層のすぐ下まで押し上げられてきます。そして、死んだ細胞となったら、10日前後で最上部まで押し上げられて、角質細胞となります。そして肌の表面で3~4日間、硬い皮を作って、お肌を守るという役割を果たします。

肌図 バリア機能

角質細胞は最上部へ押し上げれると、熟成が進み、アミノ酸を主成分とする水溶性の保湿因子「天然保湿因子」となり、まるでレンガのように整列します。さらに、このレンガを固めるセメントの役割をしているのが「細胞間脂質」で、セラミドを主成分とした保湿因子です。

この水溶性の天然保湿因子と脂溶性のセラミドが交互に重なりあうラメラ構造で、肌を外部刺激から守ったり、水分の蒸散を防いでくれる第二のバリア機能と呼ばれています。この役割を果たした後、ターンオーバー機能によって、古い角質は自然と剥がれ落ちます。

バリア機能 ターンオーバー

③忘れてはいけない3つ目の肌バリア機能「皮膚常在菌」

皮膚表面に存在しているのが「皮膚常在菌」で、こちらも肌を守るのに重要な役割を果たしています。

皮膚常在菌 善玉菌優位

皮膚には、腸内細菌と同じように「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」が存在していて、多い場所では皮膚1平方センチメートルに10万個以上もの菌が存在しています。体の部位や健康状態、年齢によって、その数は変動しています。

主に、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、マラセチア、アクネ菌など、200種類以上の菌が存在しています。

表皮ブドウ球菌は、皮脂成分のトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解して、皮膚を弱酸性に保って、アルカリ性を好む病原菌の増殖を防いでくれます。アクネ菌はニキビの原因となる菌ですが、通常は皮膚を守ってくれている菌なのです。

しかし、思春期などのホルモンの変化やストレス、食生活によって、皮脂が過剰に分泌されて、毛穴に棲んでいるアクネ菌が異常に増殖することで、炎症を起こしニキビが発生するのです。

黄色ブドウ球菌も体中に棲みついている菌で、通常であれば何の問題もない菌ですが、皮膚がアルカリ性に傾くと活性化します。お肌の洗いすぎなどでアルカリ性に傾くと増殖して、炎症やかゆみを引き起こしてしまいます。

マラセチア真菌は、酵母菌の一種で、肌に悪影響を起こすことはありませんが、脂漏性皮膚炎などの原因にもなる菌です。こうした皮膚常在菌のバランスを保つことも肌トラブルを防ぐには欠かせません。

あなたの肌のバリア機能をセルフチェック

鏡を見る女性 バリア機能チェック

あなたの肌バリア機能は大丈夫ですか?お肌の状態をチェックして、肌バリア機能が正常かどうか確認してみてくださいね。

  • 季節の変わり目に肌荒れや炎症を起こしやすい
  • 生理前後にニキビや肌荒れなどの肌トラブルを起こしやすい
  • 刺激の強い化粧品を使うとヒリヒリする
  • 髪の毛が当たるだけでも肌が痒い
  • 汗をかくと肌が痒い
  • 洗顔後すぐに化粧品を塗らないと突っ張ったりヒリヒリする
  • ストレスが溜まると肌荒れを起こしやすい

1~2個:ややバリア機能が低下気味

3個以上:バリア機能が低下している

1個でも当てはまれば、肌バリア機能は低下している可能性大です!

今のままのスキンケア続けていると、さらに、敏感肌に傾き、肌トラブルを起こしやすくなります。

敏感肌と呼ばれる肌は、肌バリア機能が低下しているお肌のことを言います。敏感肌は健康な肌の人よりも肌老化へのスピードが早いため、同年齢と比べても老けて見られ傾向もあります。

年を重ねても若々しく保つためにも、肌バリア機能を回復するスキンケアを行いましょう!

バリア機能を高めるための5つのスキンケア方法

肌荒れ バリア機能回復

お肌のバリア機能を高めることができれば、自分の肌本来の力で潤いをキープすることができます。肌トラブルも起こしにくくなり、炎症やニキビによる色素沈着の心配もなくなります。

お肌にいいと思ってしてきたことが、実は、間違っていた可能性もあります。

透明感、ハリ、弾力のある健康的なお肌になるためにも、バリア機能を高める正しいスキンケアを始めましょう。

①洗顔や体を洗う洗浄剤を変える

バリア機能回復 洗顔

バリア機能を破壊する最も大きな原因が「合成界面活性剤」です。洗顔料を変えるだけでも肌が変わると言われるほど重要です。

ほんの一部ですが、化粧品に配合されている成分の表記名で、下記の成分名が含まれているものは注意です。

注意する成分
ステアリン酸、デシル、ココイル、PEG、ポリソルベート、ラウリル硫酸、ラウリルリン酸、ラウリン酸、ラウレス、ラウレス硫酸、ラウロアンホ、ラウロイル、コカミド、ポリソルベート、ウンデシレン酸、セスキオレイン酸、ポリオキシエチレン

といっても、何を選べばいいか分からないという人が多いの現状。洗顔料やボディソープを選ぶ際は「無添加」と表示されているよりも「合成界面活性剤不使用」とはっきり明記されているものを選びましょう。

②肌断食をしてみる

肌バリア機能回復

食べ物を抜いて内蔵を休める断食は有名ですが、お肌も化粧品を止めるという肌断食という美容法があります。

肌断食の間は、基礎化粧品も使わない、メイクもしないので、家にいることができるお休みの日がおすすめです。

多くの女性が洗顔後すぐに化粧水や乳液、クリームを使ったスキンケアを行います。お肌を乾燥させないために大切なことですが、お肌はコレに慣れてしまって、自分の力で皮脂を分泌しなくなってしまうのです。

特に、合成ポリマーなどの成分が配合されている化粧品は、ラップなどのビニールを肌に覆ってしまっているのと同じなので、お肌は「潤っているから皮脂を出す必要がない」とサボってしまいます。

肌断食をすると、いつものスキンケアをしないので、肌は乾燥してしまいます。すると、肌は「皮脂を分泌しなくちゃ!」と自ら皮脂を分泌しようとします。

肌本来の機能を高めるためにも、ときには化粧品を断つことも必要。ただし、やり過ぎると肌トラブルを起こすこともあるので、2~3日がおすすめです。なかなか家にいることがなくて、肌断食の日数が取れない場合は、洗顔後すぐのスキンケアを10~15分あけてみたり、一晩だけの肌断食にするのもおすすめです。トライするなら、肌の調子が良い時に始めましょう。何事も無理をせずに。

敏感肌、ひどい乾燥肌で何もつけないとヒリヒリするという方は、合成ポリマーが配合されていない化粧水やミストであれば使ってもOKです。

③朝と夜のスキンケアを変える

バリア機能回復 化粧品

合成ポリマー配合の化粧品を使うと、肌の機能が低下してしまいます。

当サイトでも紹介している化粧品の中には、合成ポリマー配合のコスメがあり全否定はしませんが、朝も夜も使っていると、自ら潤うという肌の機能が衰えてしまうのです。ただ、合成ポリマーは肌表面をつるんとさせ、潤っているように見えますし、メイクのりも良くなります。日中の乾燥や外部刺激からも肌を守ってくれます。

そのため、朝に化粧下地の感覚で使ってみましょう。

夜は肌機能が高まる時間でもあるので、肌が本来持っている力を発揮できるよう、肌に不要なものは塗らないようにします。

肌断食とまではいかなくても、オーガニックコスメなど合成ポリマーが配合されていないコスメを使うことをおすすめします。もちろん、朝のスキンケアにもオーガニックコスメはおすすめです。ただ、今まで石油由来成分配合のコスメを使い続けてきた方は、オーガニックコスメに変えると肌が乾燥したように感じる人もいます。

ただそれは、本来の自分の今の肌状態です。

乾燥して化粧ノリが気になるというのであれば、いきなりオーガニックコスメに変えるより、朝と夜のスキンケアを変えてみるといいでしょう。

④洗顔だけで落とせるファンデーションに変えてクレンジングをやめる

ミネラルファンデーション

クレンジングと洗顔料を使っている方は、洗顔料だけで落とせるファンデーションに変えましょう。

合成界面活性剤が配合されているクレンジングと洗顔料のダブル洗顔をすることで、バリア機能を破壊してしまう確率を高めてしまいます。ファンデーションを変えることで、ダブル洗顔をやめることができます。

⑤ピーリング効果のある化粧品を過度に使いすぎない

バリア機能低下 ピーリングジェル 角質ケア

古い角質を取り除くことは、お肌のターンオーバーを正常化させる効果があり、バリア機能を回復させるのにもおすすめのスキンケアですが、やり過ぎは禁物。

強いピーリング効果があると、肌がすぐにつるつるになるので、嬉しくなって毎日してしまうという人もいるのですが、ターンオーバーを必要以上に速めてしまうこともバリア機能が低下する原因になります。

お肌の細胞がまだ未熟な状態のまま、肌表面に露出してしまうので、外部刺激に弱くなり、さまざまな肌トラブルを起こしがちになってしまいます。使用回数の目安を超えるほど、ピーリングの化粧品を使うのはやめましょう。

コットンでのふき取りも肌への刺激になるため、肌が弱い人はコットンの使用は止めましょう。

バリア機能を低下させる6つのNG行為

バリア機能 スキンケア

バリア機能が低下するNG行為です。バリア機能を回復させるためにも、今現在あてはまることがあることから中止していくのもおすすめです。

①洗浄力の強い洗顔料やクレンジングを使っている

バリア機能を低下させている一番大きな原因が、顔や体を洗っている洗浄剤に配合されている「合成界面活性剤」です。

肌に必要な皮脂を洗い流すだけでなく、皮膚常在菌のバランスも崩してしまいます。洗顔後、肌が突っ張ったり、乾燥を感じるようなら、すぐに使用を中止しましょう。

②お湯の温度が42度以上

体や顔を洗うときに使用しているお湯の温度が高いと、肌に必要な皮脂も洗い流してしまいます。

洗い流すときは、水が望ましいですが、冷たすぎると余分な皮脂が洗い流せません。また、顔の皮膚は体よりも薄いため、シャワーを直接かける行為は意外と肌に負担がかかっています。シャワーで、顔の洗顔料を洗い流している人はすぐにやめてくださいね。

③ブースターなど導入液の使い過ぎ

化粧水以降のスキンケアの浸透を高めてくれるブースター。プレ化粧水とか導入美容液などと呼ばれるアイテムが人気ですね。古い角質を取り除いてくれて、角質を柔らかくして、美容成分の浸透力を高めてくれるというアイテムですが…

「角質を柔らかくして」と謳っていますが、これらは強制的にバリア機能を壊して、美容成分の浸透力を高めているのです。

古い角質はターンオーバーの機能が正常であれば、自然と剥がれます。水分、油分のバランスが保たれていれば、ターンオーバーもスムーズに働いてくれます。なので、ブースターを使うのであれば、人間の皮脂成分に近い美容オイルを使うだけで十分です。

美容オイルは、肌になじみやすく、肌を柔らかくしてくれる効果があり、ターンオーバーを促すサポートもしてくれます。

④紫外線吸収剤配合の日焼け対策コスメの使用

日焼け止めや日焼け止め効果のある下地、乳液など、紫外線対策には欠かせないアイテムですが、それらに配合されている成分に注目してください。紫外線対策のためのアイテムには、紫外線吸収剤、または紫外線散乱剤が使われています。

紫外線散乱剤は、肌表面で紫外線を跳ね返してくれる働きがあり、肌への負担はほとんどありません。

しかし、紫外線吸収剤は化学物質が紫外線のエネルギーを取り込み、皮膚の上で科学反応を起こして別のエネルギーに変換させるので、皮膚への負担が大きいというデメリットがあります。紫外線吸収剤配合のコスメを使い続けることで、皮膚の細胞を傷つけることになり、肌機能がどんどん低下してしまいます。

⑤合成ポリマー配合のコスメの使用

合成ポリマーは、乳液やクリームなどに配合されている成分で、表示名はカルボマーやジメチコンが含まれている成分名が多いので確認してみてください。

これらは、肌表面に薄いビニールを覆っているのと同じような状態を作ります。

当サイトでも、こうした合成ポリマー配合のコスメも紹介していますが、決して悪いものというわけではないのです。肌表面をツルンとさせて、ツヤのあるお肌にしてくれますし、外部刺激からも肌を守ってくれるので、朝のスキンケアに「化粧下地」として使うのはおすすめ。

ただ肌の再生力が高まる夜のスキンケアに使用すると、肌が本来持っている機能が低下して、皮脂分泌量が少なくなってきます。

⑥ストレスの溜め込みすぎ

強いストレスを受けると、脳の視床下部が影響を受けます。女性ホルモンや皮脂分泌を促したり、抑制したりの調整は、脳の視床下部の指令によるものです。

最近の研究結果では、このストレスによって肌内部に微弱炎症が起こり、コラーゲンの生成やバリア機能に深く関わる角層の潤い成分(セラミドなど)の生成がストップしてしまうことが分かっています。

ストレスが溜まると肌トラブルを起こしやすいというのは、肌内部の微弱炎症が原因です。ストレスは避けられないという人も多いと思いますが、ストレスを溜め込まないよう、上手に発散することも重要です。

また肌内部の微弱炎症を止めるスキンケアもあります。

まとめ

今回は、肌が本来持っている「バリア機能」についてお話しました。

ついつい乾燥すると、クリームに頼りたくなってしまいますが、肌本来の機能を取り戻すことで、肌自らが潤うことができるようになります。

正しいスキンケアで、お肌のバリア機能を取り戻して、素肌美を目指してみませんか?

参考文献
自分で調べて採点できる 化粧品毒性判定事典/小澤王春著
ウソをつく化粧品/小澤貴子著
「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法/宇津木龍一著

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