尾崎まり江
突然ですが、美肌菌ってご存知でしょうか?
お肌には皮膚常在菌が棲み付いていて、肌のうるおい成分を作り出してくれている「菌」がいます。
腸内環境と同じように、善玉菌、悪玉菌が存在していて、善玉菌の数が多いほど美肌をキープできます。
ここでは、著書「化粧水をやめたら美肌菌がふえた!」を参考に、美肌菌について解説。さらに、美肌菌を増やすためのスキンケアのポイントをまとめました!
「美肌菌」とは?
以前、バリア機能について書いた記事の中に、皮膚常在菌のことに触れていますが、お肌には腸内と同じように、善玉菌や悪玉菌が存在しています。
その菌の中で、肌に大きな影響を与える菌として、下記の3つが著書の中で挙げられています。
①表皮ブドウ球菌
②アクネ菌
③黄色ブドウ球菌
この中の①表皮ブドウ球菌が、美肌をつくる菌「美肌菌」と言われています。
美肌菌の働きとは?
角質層の表面と角質細胞のすき間に棲んでいる美肌菌は、皮脂や汗を食べて分解することで、グリセリン、グリセロール-1-リン酸という保湿成分を分泌しています。
なので、美肌菌が正常に働いていれば、それだけでお肌はしっとり潤うのです。
アクネ菌も美肌のために必要な菌
健康的なお肌の皮脂膜は、pH4.5〜5.5の弱酸性で、これより酸性やアルカリ性に傾くと、肌には刺激となり、炎症などの原因となります。
ただ、この皮脂膜のpH値は、年齢や性別、皮膚の部位によっても多少異なったり、季節や気温、時間帯によっても微妙に変動するそうです。
しかし、美肌菌が、皮脂や汗を食べて脂肪酸や有機酸などの「酸」を分泌して、中性に近づきがちな皮脂膜を弱酸性に保ってくれているんですって。
そして、ニキビの原因として知られる「アクネ菌」は、美肌菌と一緒になって同じ働きをしてくれるそうなんです。
「美肌菌」を増やすためのスキンケアの5つのポイント
浸透力の高い化粧水は、スキンケアの一番最初に使うのが一般的。ですが、今までのこの常識が間違い。 水分は肌にはそもそも浸透しない、角質層をふやかしているだけと言います。もし浸透していると感じるのであれば、それは、わざわざ角質層のバリア機能を壊す成分が配合されているということ、と本書には書かれています。 以前書いた記事、「「捨てる美容」小田切ヒロ著のスキンケア7つのポイントまとめました」でもお伝えしましたが、皮膚は排泄器官なので、そもそも浸透するという行為は真逆の発想。 なので、化粧水が浸透する〜というのも不自然なことなんです。 ちなみに、美容液も浸透しやすいので、化粧水と同時に美容液もやめることが推奨されています。 また、本書では、さらにアルカリ性の洗顔料で顔を洗うことで、肌が中性、アルカリ性に傾いてしまうと書かれています。 通常は、洗顔しても数時間〜8時間くらいで、pHも常在菌も元どおりに復活するそうですが、洗顔料の種類、洗顔の仕方、洗顔の頻度によっては、常在菌がなかなか復活しないそうです。それどころか、激減していることも。 この本では、洗顔料を使うのは1日1回にしましょうと書かれています。 美容のために半身浴をしている方も多いと思います。私もその一人です。 しかし、熱めのお風呂に長く浸かっていると、角質層がふやけて、入浴後に角質層の表面がめくれてバリア機能が壊れてしまうというのです。 角質層は、いったん乱れると、自然なターンオーバーで垢となって落ちるまで、元の滑らかな皮膚には戻らないと言います。なので、その間、美肌菌が復活することができず、入浴するたびに減少してしまう可能性があるとか。 入浴するなら、ぬるめの温度で15分くらいが推奨されています。 ビフィズス菌がつくる産生物の抽出液や、ビフィズス菌を発酵させてヨーグルトをつくる過程でできた上澄み液(乳清)を肌に直接塗ると、美肌菌が増えるというデータが実際に存在するそう。 市販のヨーグルトでできるのでお手軽です。 実際に試した方からは「肌がしっとりする」「滑らかになる」と好評のようです。ただ、詳しいメカニズムはまだ分かっていないそう。(※詳しいヨーグルトパックの方法は記事の最後に) 運動してかく汗は、温熱性発汗と言って、エクリン腺という汗腺から出るサラサラした汗なんだそうです。 実は、このサラサラの汗が美肌菌のエサになるんですって。さらに、肌に潤いを与える天然の美容液でもあるそうなんです。 また、黄色ブドウ球菌という、アトピーなどを引き起こす原因となる菌を殺菌するタンパク質の一種、抗菌ペプチドも含まれているとのこと。 毎日、うっすら程度の汗をかくことで、美肌菌を増やすことができます。大量の汗は、角層がふやけて肌荒れの原因となる場合もあるので、20分ほどのウォーキングでじわっとかくくらいの汗でいいそうです。 お風呂あがりに汗をかくのは気持ち悪いと感じる人もいるかもですが、軽い運動で汗をかくと、洗顔後の肌に美肌菌が復活しやすくなるそう。なので、せっかくかいた汗は、洗い流さずに寝てください。 出来尾式ヨーグルトパックは、美肌菌を増やす以外の効果にも期待できます。 ①美肌菌の増殖を促進 では、出来尾式ヨーグルトパックの方法をご紹介しましょう。 パック中に「しみる」と感じたら、すぐに取り除いて、ぬるま湯で洗い流してください。 ①ヨーグルトとホエイを器に取って、よく混ぜる。(約50g)※ホエイが多く含まれている方が効果的。 ①ヨーグルトの容器の中から、ホエイ(上澄み液)だけを器に取り出す。※ホエイがあまり浸み出していない場合は、ヨーグルトを器に取ってスプーンで切るように混ぜて、数分間放置する。 200〜300円ほどで買えるヨーグルトで美肌菌が増やせて、肌がきれいになればこんな安上がりな美容法はありませんね。 高価な化粧水もやめたら、その分も節約になります。 お肌に本当に必要なもの、必要じゃないものを見極めて、シンプルなケアで美肌を手に入れたいですね。 《参考文献》①化粧水をやめる
②ダブル洗顔をやめる
③長風呂をやめる
④ビフィズス菌ヨーグルトパックで美肌菌を増やす
⑤運動して汗をかく
コスパ抜群の美肌菌を増やすヨーグルトパック
出来尾式ヨーグルトパックの効果
②しっとり保湿(美肌菌とホエイによる保湿効果)
③アルカリ性に傾いた肌を弱酸性にする
④角質層の乱れをソフトピーリング(ホエイにピーリング効果のあるAHAが含まれている)
⑤毛穴の詰まりを溶かす出来尾式ヨーグルトパックの方法
用意するもの
ヨーグルト選びについて
注意すること
出来尾式ヨーグルトパックの方法①
②顔全体に①を均一に塗る。フェイスマスクシートをのせ、手で軽く押さえて10分間パック。
③たっぷりのぬるま湯でひたひた洗顔しましょう。出来尾式ヨーグルトパックの方法②
②ホエイを集めた器にフェイスマスクシートを浸して、ホエイを吸収させる。それを顔にのせて10分間パック。
③たっぷりのぬるま湯でひたひた洗顔をするまとめ
河出書房新社「化粧水をやめたら美肌菌がふえた!」 ミルディス皮フ科医師 出来尾格著