今回は、季節の変わり目に「だるい」「眠い」などの体調不良や「やる気が出ない」など心の不調を感じる方に読んでいただきたい記事です。
この記事はこんなあなたにおすすめ
- 季節の変わり目に体調を崩しやすい
- 天気の悪い日に頭痛やめまいがする
- 肩が凝りやすい
- 偏頭痛持ち
- 暑い時期にはのぼせやすく、寒い時期には冷えやすい
など、寒暖差が激しい季節の変わり目にお体の不調、感じていませんか?
今回は、医師であり、気象予報士である私から、みなさまに以下のようなメッセージを送ります。
私たちが暮らすニッポンは「四季」が存在します。それぞれ楽しいイベントやその季節にしかない食べ物、植物、服装などいろんな楽しみ方はありますが、一方でこうした季節の変わり目に体調を崩しやすい人が少なくないのも事実です。
なぜ季節の変わり目に体調を崩しやすいのか、また対策方法などをお伝えしたいと思います。
季節の変わり目、特に、春先は約8割以上の人が心や体にさまざまな不調を感じる時期であります。
新生活の始まりであり、身の回りの環境の変化も原因のひとつではありますが、1年の中で最も春先は気象状況もめまぐるしく変化するため体がついていかない人が多くいます。
つまり、普段以上にバテやすい季節の変わり目に向けて、日頃の予防や体調管理対策が大切なのです。
「季節の変わり目に感じる不調」として多い症状
①わけもなくだるい
②眠りが浅い
③朝起きるのがつらい
④食欲がない
⑤いらいらしやすい
⑥頭痛が起きやすい
⑦肌荒れが気になる
⑧落ち込みやすい、いらいらしやすい
みなさんは何か一つでも該当しませんか?たとえ該当せずとも、季節の変わり目に、なんらかの体調不良を感じたことはありませんか?
季節の変わり目に感じるストレス
この時期の体調不良の主な原因は、「気温差」によるストレスなのです。
朝晩は気温が下がりやすく、日中は陽気な暖かさで汗ばむくらいの日もあります。こうした1日の気温差は自律神経の乱れを起こし、体調不良の原因となります。
3~4月の春先以外にも、6~7月、10~11月頃にも注意が必要です。
これらの時期に多くみられる症状として、上述したものがありますが、そのほかもあり、体調不良の症状や程度としては人それぞれではあります。
つまりこうした季節の変わり目である時期には、体の不調も心の不調も現れやすいようです。
季節の変わり目の不調の原因
季節の変わり目に、体や心の不調を感じる「主たる原因は自律神経の乱れ」です。
気温差によるストレスによって、自律神経のバランスが崩れ、自律神経の乱れが生じます。
自律神経には日中活動しているときに作用する「交感神経」と、夜間などリラックスしているときに作用する「副交感神経」の2つがあります。
これらは常にバランスを保って私たちの体で働き、全身の血管や臓器の働きや器官をコントロールしてくれており、私たちの体温、発汗、呼吸、代謝などをスムーズに行えるようにしてくれています。
しかし、気温差が大きくなると、これらを何回も調節しないといけなくなるために「交感神経」が優位になりやすくなります。
交感神経優位の状態が持続してしまうと、血管が収縮したり、心拍数が上がったりしてしまうため、疲れやすかったりだるさを感じやすくなります。
特に春先は気温差のみならず、引っ越し、異動、進学など、身の回りの環境変化も加わるため、生活リズムの変化による自律神経の乱れも重なってしまいやすく、体調を崩す原因が増えてしまっているのです。
気温差+気圧差も体調不良の原因
気温差だけではなく、気圧差も原因といえます。
低気圧と高気圧が入れかわり立ちかわりやってくる季節の変わり目は、気圧変動も大きい時期です。
気圧が上がったり下がったりすると、耳の奥にある「内耳」という箇所が非常に過敏に察知します。
この内耳は、耳の奥のほうに位置し、半規管や前庭といった体の平衡感覚を保つ器官が集まっています。
そのため、この内耳が察知した情報は、内耳から脳へ伝達され、自律神経は「ストレス」を感じ、交感神経優位になるのです。
その結果、めまい、血圧上昇、頭痛、古傷の痛みの悪化などが起こりやすくなってしまうのです。
もともと私たち人間は、自律神経の支えにより、ある程度のストレスには耐えられるようにできているのですが、負荷が強すぎてしまうと、自律神経が正常に機能しなくなってしまいます。そのため、バランスを崩しやすくなってしまいます。
近年エアコンが普及していたり、テレビやパソコンなど、夜間照明が続いたり、夜勤をするなど、生活リズムを整えにくい環境下で生活する私たちは、適したところで汗をかかなかったり、血圧が上がらなかったり、非常に自律神経の整いにくい中で毎日を過ごしています。
こうしたことも要因となって、気温差だけではなく、気圧差に対しても対応できにくい体になっている方が増えているのが現状です。
季節の変わり目の体調変化の対策方法
こうした季節の変わり目に起こりやすい体調変化を起こしにくくする対策が必要ですね。
環境変化から受ける影響を少しでも減らしたり、体調変化を起こしにくくする体づくりを心がけることが重要です。
下記に今からでも実践できる対策方法を挙げてみましたので、参考にしてみてくださいね。
①1日3食しっかり食べること
3食の中でも、特に朝食は欠かせません。1日の始まりです。しっかりエネルギーを摂取することで、夜間就寝中に下がった体温をあげたり、1日の脳の活動力につながります。
日中の活動源というだけでなく、その日の睡眠のためにも欠かせません。
特にビタミンやたんぱく質をとることで、体内においてエネルギーに換わり、自律神経の乱れも防いでくれます。
②適度な運動をする
自律神経を安定化するために散歩、ウォーキング、軽いジョギング、水泳は非常に効果的であるといわれています。
代謝をあげたり血流を改善したり、筋肉のコリを予防する効果があります。
③睡眠、リラックスを忘れずに
睡眠やリラックスする時間は、自律神経のバランスを整えるために、副交感神経を優位にし、体や心を休息させてくれます。
しっかり睡眠をとったり、熱過ぎない温度で入浴したり、暗めの部屋で好きな音楽やアロマなどの香りを楽しんだり、ハーブティーを飲んだりすることは効果的でしょう。
④テレビやパソコン、スマートフォンを使用しすぎない
もともと頭痛もちであったり、肩こりがあったりする人は、こうした季節の変わり目に症状が悪化する場合が多くみられます。
こうした症状は猫背や肘をついたりなど悪い姿勢や同じ姿勢を続けてしまう習慣のある人に多く見られます。
また、パソコンやスマートフォンから発せられている「ブルーライト」は、眼精疲労の原因です。目が疲れると、首の筋肉も硬くなり、肩首のコリを悪化させます。
さらに、ブルーライトは、自律神経の交感神経を優位にさせてしまうため、睡眠前に使用するのは避けた方がいいでしょう。
⑤冷えを改善しましょう
もともと冷え性のあるかたは血流がよくない可能性があります。血流の多い首の後ろや足の付け根(鼠径)、脇下(腋窩)、腰などを温めましょう。
気象・天気と体調の関係
気象病、天気病といった言葉を一度は耳にしたことがありませんか?
気象病、天気病という言葉があるほど、気温、気圧、湿度の変化は、体調と密接な関わりがあります。
上述したように自律神経は、私たちのからだの循環器、呼吸器、消化器などの活動を調節している神経です。
この自律神経の乱れにより、季節の変わり目や天気の悪い日に不登校、欠勤、気分障害など現実に起きていることなのです。
- 減圧下ではうつ状態になる
- 低気圧下では痛みを感じやすい
これらは、実際ラットモデルによる実験で認められている現象です。
そして「天気病外来」「気象病外来」といった診療をおこなっている病院も存在しています。
体調と気象は、切り離せない密接な関わりがあり、その中で日々私たちは生活しています。毎日が健康で楽しく生活できるように自分の体のケアやストレス対策は欠かせませんね。
まとめ
「気が晴れる」「心は雨模様」などという表現があり、概ね晴れはさわやかな気分を、曇りや雨は気分がすぐれない状態を表すことが多いものです。
天気は雨から晴れになれば気圧が上がり、気温も上がり、晴れから雨になれば気圧が下がり、気温も下がります。
また台風や発達した低気圧が接近、通過すれば、気温、気圧、湿度はめまぐるしく変化します。
こうした大きな変化の中で私たちは体調を維持していかねばなりません。
季節の変わり目は、ただでさえ体調変化が起きやすく、持病のある人にとっては冷え、アレルギー、ぜんそく、頭痛、慢性痛の悪化を招きやすい条件がそろってしまいます。
日頃から体調を整え、上述した対策をとることで、体調変化から身を守り、季節の変わり目を無事に過ごせるよう皆さんにとって参考になればと思っています。