今回は、女性ホルモンとお肌の関係性について、また、更年期障害における肌トラブルについて、現役産婦人科医師が解説していきます。
この記事はこんなあなたにおすすめ!
- 肌のキメ、小じわ、たるみが気になり始めた方
- 肌質が変わってきた気がし始めている方
- 更年期が気になり始めた方
- 肌の症状以外にも体調の変化がある方
- 疲れているの?と他人にいわれたことがある方
と、月経周期が長くなったり、閉経したりして、更年期かな?肌のうるおいがなくなってきたかな?と気になっている方のために、女性ホルモンと肌の関係、肌トラブルの原因や更年期以降の女性が選ぶのにおすすめの化粧品成分などを紹介していきます。
女性ホルモンと肌の関係
肌の老化には「光老化」と「生理的な老化」があり、7対3の割合といわれています。
特に後者は女性ホルモンと大いに関係があり、生活習慣とスキンケアにより5年後、10年後の肌に差が出ます。ホルモンと肌の関係を知り、今日から早速ケアを始めてみましょう。
・肌がキレイなのは女性ホルモンのおかげ?
「エストロゲン」という女性ホルモン。今やほとんどのかたが一度は耳にしたホルモンだと思います。一生でスプーン1杯分しか分泌されないといわれています。
しかし、生理や妊娠以外、体内でどんな役割をしているかご存じない方も少なくないと思います。
実は肌や髪にうるおい・つやを与える、血管をしなやかにする、脂質系代謝を促進する、認知機能を維持する、骨量を維持するなど体中で働いています。
・更年期における肌トラブルはなぜ起こる?
皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織の3層で成り立っています。特に土台となっているのが真皮です。
真皮には「コラーゲン」、コラーゲンとコラーゲンをつなげる「エラスチン」、それらの隙間をうめる「ヒアルロン酸」が含まれています。
エストロゲンにはこれらを産生する線維芽細胞に作用しコラーゲンやエラスチンの生成・分解を助け、ヒアルロン酸の水分保持力を高めることで肌のうるおいや弾力を保っています。
そのためエストロゲンが減少すると肌の水分量が低下したり、きめが荒くなってしまいます。
また顔の骨量が低下する場合があり、骨格にゆがみが生じ、たるみが起きやすくなります。
さらに、エストロゲンの減少は、表皮の再生力(ターンオーバー)に影響するため、しみが目立ったり肌荒れの治りが遷延してしまいます。
・女性ホルモンバランスは髪の毛にも影響する?
エストロゲンは、毛髪の発達にも影響しています。毛髪の成長を促進する、毛髪の成長期間を維持する、毛髪を豊かにする働きがあります。
生える~抜けるまでの毛周期が整っているため、毛髪の成長期が十分長く、水分量も維持されるため、1本1本が丈夫になります。
そのためエストロゲンが減少すると抜け毛が多くなったり、ボリュームがなくなったり、うねりやパサつきが気になるようになります。
更年期障害で肌がかゆくなるのはどうして?
女性ホルモンと肌は関係しているため、更年期以降、お肌に変化を感じる人も多いでしょう。その中でも、「肌がかゆくなる」といった肌トラブルも増えます。
更年期障害による「肌のかゆみ」の原因は3つあります。
①エストロゲンの減少にともない、肌の水分保持力が低下してしまうため乾燥しやすくなりかゆみが生じやすくなる
②更年期におきやすい自律神経の乱れから、顔のほてり、汗をかくなど顔に熱が生じることが増え、かゆみが生じやすくなる
③自己の間違った手入れ、特に過剰に保湿していたり、洗顔のしすぎで皮膚表面のバリアとなっている皮脂を流しすぎてしまっていることで、肌本来の常在菌のバランスが崩れ、にきびや乾燥が悪化しかゆみが生じやすくなっている。
更年期障害による肌トラブル解消するのにおすすめの化粧品の成分とは?
更年期障害による肌トラブル、「かゆみ」や「肌荒れ」が気になり始めたら化粧品の成分も意識してみましょう。また、ホルモン補充療法という対処法もあるので、ご紹介しておきますね。
・更年期の女性におすすめの化粧品成分
更年期におきやすい乾燥やたるみをケアするためには、まず保湿が重要です。
セラミド、コラーゲン、エラスチン、スクワラン、ヒアルロン酸配合の化粧品を選びましょう。
中でも、長時間機能を保つことができるゲルタイプがおすすめです。さらにこれらをしっかり浸透されるために導入美容液やビタミンC配合の化粧品をプラスしましょう。
・ホルモン補充療法
内服薬、外用薬(パッチ、ジェル、膣錠など)のエストロゲンを補充することです。
使用できない方もいるので、処方には婦人科、もしくは皮膚科を受診し医師の診察が必要です。
更年期の肌荒れ悩みを解消するためにいますぐにすべきこと
気になり始めた肌の小さな変化を見逃さずすぐに食い止めることが大切です。
肌のケア以外にも毎日の生活習慣も美肌作りには大切です。今日から早速始めてみましょう。
①睡眠
肌のダメージは睡眠により新陳代謝を促進し修復されます。睡眠中に分泌される成長ホルモンは肌の再生力を促進させます。しっかり睡眠休養をとりましょう
②運動
顔の表情筋トレーニングやリフトケアマッサージは効果的です。ストレッチ運動も全身の血行やリンパの流れを促進し、顔や首周りの老廃物を排出させてくれます。また姿勢も大切です。長時間同じ姿勢をしているとたるみやしわが増えてしまいます。
③食事
抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eやエストロゲンの代謝を助けるビタミンB6、またコラーゲンたっぷりのうなぎや鶏の皮、エストロゲンの働きに似た大豆イソフラボン、活性酸素を減らすアスタキサンチンを多く含む魚類、リコピンを含むトマトなど、さらに腸内に悪玉菌が増えると便秘や免疫力が低下するので食物繊維、乳酸菌、発酵食品の摂取もこころがけるとよいでしょう。
④ストレス、喫煙
これらは血管を収縮させたり皮脂分泌を増加させたり、ビタミンを大量消費してしまい、活性酸素の増加につながってしまいます。禁煙やストレスを解消する工夫をしましょう。
⑤UVケア
肌老化の7割は「光老化」です。紫外線は多大な肌へのダメージを与えます。日焼け止めやファンデーションを使用することも大切です。
まとめ
今回は、女性ホルモンとお肌の関係性、また、更年期障害による肌荒れやかゆみなどの肌トラブルについてもご紹介しました。
今すぐできる対処方法も参考にして、閉経しても、潤いやツヤのある肌をキープしていきましょう。