ピルを服用するにあたり、どの種類のピルにすればいいかお悩みの方もいらっしゃると思います。
そこでこの記事ではピルの種類とその効果について解説します。
種類ごとの価格についても紹介していますので是非最後までご覧ください。
ピルとは
ピルとは、経口避妊薬のことです。主な目的は以下の通りです。
妊娠の防止
生理に伴う苦痛の軽減
ピルには、次の2種類の女性ホルモンが含まれています。
- 卵胞ホルモン(エストロゲン)
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)
これらの女性ホルモンが排卵や月経を調整することで、女性特有の問題を軽減しやすくなります。
特に利用されているのが、ホルモンの含有量が少ない低用量ピルです。具体的には、卵胞ホルモンの含有量が50μg以下のピルが低用量ピルと呼ばれます。
また、卵胞ホルモンの含有量が30μg以下のものは超低用量ピルとされます。低用量ピルや超低用量ピルは、中用量以上のピルに比べて副作用が少ないというメリットがあります。
ピルの基本的な効果
ピルにはさまざまな種類がありますが、一般的なピルの効果は以下の通りです。
生理の日程をコントロール
ピルの主な効果の一つは、生理の日程を調整することです。生理周期が不規則な方は、ピルを使用することで周期を整えることが可能です。ピルは女性ホルモンのバランスを人工的に調整し、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌をスムーズにします。その結果、生理が安定しやすくなります。
経血量の減少
ピルには経血量を減少させる効果もあります。これは、ピルに含まれるホルモンが子宮内膜の成長を抑えるためです。子宮内膜は受精卵を受け入れるための組織で、経血量はこの内膜の厚さに依存します。ピルを服用することで黄体ホルモンの量が減り、経血量が少なくなることが期待できます。これにより、過多月経の治療にも利用されます。
生理痛の緩和
生理痛は主にプロスタグランジンというホルモンによって引き起こされます。ピルを服用することで、プロスタグランジンの分泌が抑えられ、子宮の収縮が和らぐため、生理痛が軽減されることが期待できます。
子宮内膜症の予防
ピルは子宮内膜症の予防にも寄与します。子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の場所に形成される病気で、ピルが女性ホルモンを調整することで内膜の成長を抑制します。さらに、ピルによって生理の回数が減少するため、子宮内膜症のリスクも低下します。
排卵の抑制
ピルには排卵を抑える効果があり、これにより避妊効果が得られます。排卵を抑えることで経血量や生理痛も軽減される可能性があります。
月経前症候群(PMS)の軽減
ピルはPMSの治療にも使用されます。PMSは生理開始2週間前から現れる心身の不調で、ピルによって黄体ホルモンの分泌が抑えられるため、PMSの症状が軽減されることが期待できます。
月経前不快気分障害(PMDD)の改善
PMDDは生理前に現れる重度の精神的不調で、ピルはこの症状の軽減にも役立ちます。ピルによって女性ホルモンのバランスが安定することで、PMDDの症状が改善される可能性があります。
ニキビの減少
生理前後に悪化するニキビに対しても、ピルが効果を示すことがあります。ピルは黄体ホルモンの分泌を調整し、皮脂の分泌を抑えるため、生理前後のニキビが軽減されることが期待されます。
体毛の減少
ピルは濃い体毛を薄くする効果があるとされています。これは男性ホルモンの抑制によるもので、ピルの効果が現れるのは新しく生える毛に対してです。すでに生えている毛の減少にはあまり効果が期待できず、効果を実感するまでには数ヶ月かかります。
高い避妊効果
ピルには高い避妊効果が期待でき、避妊率は99%とされています。これは、ピルが妊娠の機能を抑制するためです。卵子の育成が止まるため、受精が起こらず、妊娠するリスクが低くなります。
ピルは多くの効果を持っており、使用することで様々な症状の軽減やコントロールが可能となります。
ピルの種類とその特徴
日本で承認されているピルの主な種類とそれぞれの特徴をまとめました。ピルを検討中の方は、参考にしてください。販売価格はクリニックや保険によって異なる場合があります。
アンジュ
アンジュは避妊効果があり、月経困難症や生理前後のニキビ対策に多く使用されます。21錠タイプ(アンジュ21)と28錠タイプ(アンジュ28)があり、それぞれ服用方法が異なります。
- ホルモンの種類: ノルエチステロン
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 21錠・28錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 28錠: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、月経困難症の改善、生理前後の肌荒れの軽減
シンフェーズ
シンフェーズは、服用開始日が日曜日に固定されているのが特徴です。このため、飲み忘れが少ないという利点があります。28錠から構成され、以下の3色の錠剤が含まれています。
- 淡青色:12錠
- 白色:9錠
- 橙色:7錠(偽薬)
このピルは、月経量や痛みのコントロールに非常に効果的です。
- ホルモンの種類: ノルエチステロン
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 28錠
- 服用方法: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、月経量の減少、月経痛の緩和
ルナベルLD/ULD
ルナベルにはLDとULDがあり、主に月経困難症や子宮内膜症の症状緩和に使用されます。
- ホルモンの種類: ノルエチステロン
- ホルモンの配合量:
- LD: 50μg以下
- ULD: 30μg以下
- 平均販売価格:
- LD: 2,000円~
- ULD: 7,000円~
- 錠数: 21錠
- 服用方法: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 主な特徴: 月経困難症の改善、子宮内膜症の痛み軽減
フリウェル
フリウェルは主に月経困難症の治療に使用され、避妊効果はあまりありません。「ルナベル」の後発薬として、低用量(LD)と超低用量(ULD)の2種類があります。
- ホルモンの種類: ノルエチステロン
- ホルモンの配合量:
- LD: 50μg以下(低用量ピル)
- ULD: 30μg以下(超低用量ピル)
- 平均販売価格: 500円~
- 錠数: 21錠
- 服用方法: 生理1日目から21日間服用し、7日間休薬
- 主な特徴: 月経困難症の改善
ジェミーナ
ジェミーナは21錠シートと77錠シートがあり、77錠シートは84日間連続して服用します。主に月経困難症の改善に使用されます。
- ホルモンの種類: レボノルゲストレル
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,500円~
- 錠数: 21錠・77錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 77錠: 28錠シートを2つ連続服用、21錠シートで7日間休薬
- 主な特徴: 月経困難症の改善
マーベロン
マーベロンは避妊効果があり、濃い体毛や生理前後のニキビ改善にも効果があります。
- ホルモンの種類: デソゲストレル
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,500円~
- 錠数: 21錠・28錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 28錠: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、月経困難症の改善、濃い体毛や生理前後のニキビの改善
ファボワール
ファボワールはマーベロンの後発薬品で、成分は同等ですが、より低価格で提供されています。
- ホルモンの種類: デソゲストレル
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 21錠・28錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 28錠: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、月経困難症の改善、濃い体毛や生理前後のニキビの改善
トリキュラー
トリキュラーは3相性ピルで、21錠と28錠のタイプがあります。
- ホルモンの種類: レボノルゲストレル
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,500円~
- 錠数: 21錠・28錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 28錠: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、PMSの改善、月経困難症の改善
ラベルフィーユ
ラベルフィーユはトリキュラーの後発薬品で、同様の効果を持ちながら価格が抑えられています。21錠と28錠のタイプがあります。
- ホルモンの種類: レボノルゲストレル
- ホルモンの配合量: 50μg以下(低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 21錠・28錠
- 服用方法:
- 21錠: 生理初日から21日間服用し、7日間休薬
- 28錠: 毎日
- 主な特徴: 妊娠防止、月経困難症の改善、生理前後のニキビやPMSの改善
ヤーズ
ヤーズは30μg以下の超低用量ピルで、主にPMSや月経困難症の改善、子宮内膜症の予防に用いられます。
- ホルモンの種類: ドロスピレノン
- ホルモンの配合量: 30μg以下(超低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 28錠
- 服用方法: 生理初日から28日間服用し、4日間休薬
- 主な特徴: PMSの改善、月経困難症の改善、子宮内膜症の予防
ヤーズフレックス
ヤーズフレックスはヤーズのシリーズの一つで、両者の配合成分はほぼ同じです。また、避妊効果が薄い点も共通しています。
ヤーズとヤーズフレックスの違いは、連続服用の期間です。ヤーズは28錠中4錠が偽薬ですが、ヤーズフレックスは全ての錠剤に有効成分が含まれており、最長120日間の連続服用が可能です。
- ホルモンの種類: ドロスピレノン
- ホルモンの配合量: 30μg以下(超低用量ピル)
- 平均販売価格: 2,000円~
- 錠数: 28錠
- 服用方法: 生理初日から28日間〜120日間連続服用し、4日間休薬
- 主な特徴: PMSの改善、月経困難症の改善、子宮内膜症の予防
ドロエチ
ドロエチはヤーズの後発薬品で、避妊効果は薄いものの、生理前後の心身の不調の改善に役立ちます。価格が手頃で、長期間の使用がしやすいのも魅力です。
- ホルモンの種類: ドロスピレノン
- ホルモンの配合量: 30μg以下(超低用量ピル)
- 平均販売価格: 800円~
- 錠数: 28錠
- 服用方法: 生理初日から28日間服用し、4日間休薬
- 主な特徴: PMSの改善、月経困難症の改善、子宮内膜症の予防
ピルの種類によって得られる効果が異なるため、自分に合ったピルを選ぶことが大切です。
ピルの種類ごとの価格
ピルの価格は、以下の要素によって異なります。
- ピルの種類
- 保険適用の有無
- 先発薬と後発薬(ジェネリック)の違い
- 薬局や病院の設定
ここでは、種類別の大まかな価格を紹介します。
中用量ピル(約5,000円)
中用量ピルは、卵胞ホルモンの配合量が50μg以上のものを指します。1ヶ月分の価格は約4,500円から5,500円が一般的です。
代表的なものは先発品のプラノバールで、後発薬にはOvral Gがあります。Ovral Gは主に個人輸入で入手され、価格は1,000円から2,000円程度です。
中用量ピルは、月経困難症などの治療に使用される場合は保険が適用されますが、避妊目的の場合は適用外となります。このピルはホルモン量が多いため、月経の移動や避妊効果が高い一方で、副作用が出やすいという欠点があります。
低用量ピル(約3,000円)
低用量ピルの先発品は、1ヶ月分が1,500円から3,000円程度です。後発医薬品の価格は約2,000円前後が一般的です。
低用量ピルが保険適用となるのは、月経困難症や過多月経の治療の場合です。このピルはホルモンの配合量が少ないため、副作用が比較的出にくいのが特徴です。
超低用量ピル(約7,000〜10,000円)
超低用量ピルは、1ヶ月分の先発品が6,000円から7,000円程度ですが、種類によっては1万円を超えることもあります。後発医薬品は、先発品の価格の60%から80%程度で設定されています。
このピルは卵胞ホルモンの配合量が30μg以下のものを指し、副作用リスクが低いのがメリットです。月経困難症などの治療に使用されることが多く、原則として保険が適用されます。ただし、医師の方針によっては自由診療になることもあります。
ミニピル(約3,000円)
ミニピルは、女性ホルモンのうち黄体ホルモンのみを含むタイプで、平均価格は1ヶ月分で約3,000円です。血栓症のリスクが低い点がメリットですが、生理前後の肌荒れやPMSへの効果が弱く、服用開始直後に不正出血が起こりやすいことに注意が必要です。ミニピルは日本では認可されていないため、保険は原則適用されません。
アフターピル(約5,000〜20,000円)
アフターピルは緊急避妊薬で、一般的には1シートで5,000円以上の価格設定です。処方機関によっては2万円を超える場合もあります。避妊目的のため、基本的に保険は適用されません。
アフターピルは、避妊に失敗した際に使用され、性交渉から72時間以内に1錠を服用することで妊娠を防ぐ効果があります。妊娠回避率は約80%です。
ピルの副作用について
ピルには副作用のリスクがあり、具体的な症状は種類によって異なりますが、過度に心配する必要はありません。ほとんどの薬には副作用があり、特にピルだけが問題視されるわけではありません。
ピルの副作用は「マイナートラブル」とも呼ばれ、特に服用開始直後にホルモンバランスが変動することが原因で発生しやすいです。通常、2〜3ヶ月の使用でホルモンバランスが安定し、これに伴い症状も治まることが一般的です。
以下に、ピルで起こりやすい副作用を詳しく紹介します。
吐き気
ピルの代表的な副作用の一つです。女性ホルモンのバランス変動が影響し、特に服用開始直後に現れやすいです。個人差はありますが、症状は1〜2ヶ月で軽減します。
乳房の張り
服用により乳房が張ったり、痛みを伴うことがあります。これは、ホルモンが乳腺を刺激するためです。初期に症状が出やすく、身体が馴染むにつれて軽減することが多いです。
不正出血
月経期間外に性器から出血することを指します。ピル使用者の約5人に1人が経験し、ホルモンバランスの変化が原因とされています。出血量には個人差があり、通常は1週間程度で収まります。もし3ヶ月以上続く場合は、他の病気の可能性があります。
頭痛
ピルによるホルモンの変動が原因で、頭痛が起こることがあります。眠気を伴うこともあり、服用開始後に現れ、次第に軽減することが一般的です。
下腹部痛
下腹部に痛みを感じることがあり、生理痛に似ています。特に服用初期に症状が出やすく、不正出血を伴う場合もあります。
むくみ
頻繁に見られる副作用で、黄体ホルモンが水分を保持する作用が原因です。むくみによる一時的な体重増加が見られることがありますが、通常は服用を続けることで軽快します。ただし、むくみは血栓症のサインとなることもあるため注意が必要です。
血栓症のリスク
ピル使用者は血栓症のリスクが高まる可能性があります。血栓が脳や心臓の血管を詰まらせると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがあります。特に以下の条件に該当する方は注意が必要です。
- 高度の肥満
- 40歳以上
- 喫煙者(1日15本以上)
- 片頭痛の持病がある
- 授乳中
血栓症の前兆としては、むくみ(特に足)、息切れ、胸痛、頭痛、言語障害、視界のかすみなどがあります。服用中に体調に変化を感じた場合は、速やかに医師に相談することが重要です。
ピルを飲み忘れたときの対処法
ピルの飲み忘れは、多くの女性にとって悩ましい問題です。飲み忘れた場合の対処法は、忘れた日数や状況によって異なります。
以下では、具体的な対処法を詳しく説明します。
飲み忘れた日数に応じた対処法
飲み忘れた日数によって、取るべき対処が変わります。
- 1日以内の場合
すぐに忘れた分を飲むことが推奨されます。
- 2日以上の場合
忘れた分をすぐに飲み、次の服用は通常通りに続けます。
- 3日以上の場合
生理が来る可能性が高まるため、服用を中止し、医師の指示に従うことが重要です。
飲み忘れと避妊効果
ピルを飲み忘れた場合、12時間以内であれば避妊効果は保たれています。しかし、12時間を超えてしまうと、避妊効果が低下する恐れがあります。
特に24時間以上飲み忘れた場合は、避妊効果が大きく減少するため、他の避妊方法を併用することが推奨されます。
ピルを個人輸入する際のメリット・デメリット
ピルを個人輸入する際のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
- コストが安い
個人輸入のピルは、医療機関で処方されるものよりも一般的に安価です。特に海外製のピルは消費税がかからないため、費用を抑えることができます。
- 種類が豊富
海外製のピルは、選択肢が多く、自分に合った製品を見つけやすいのも魅力です。人気のブランドや新しい製品にアクセスしやすくなります。
- まとめ買いのメリット
まとめ買いのメリット
まとめて購入することで、単価がさらに安くなることがあります。
ただし、送料がかかることを忘れずに。ピル自体は安くても、送料が高くつく場合があるため、全体のコストを確認することが重要です。
デメリット
- 偽薬や粗悪品のリスク
個人輸入には、偽薬や品質が低い製品を手にする危険があります。一部の製品には、身体に有害な成分が含まれていることがあります。日本で禁止されている麻薬や覚醒剤が含まれることもあるため、注意が必要です。
- 自己責任の健康リスク
個人輸入したピルによる健康被害は自己責任です。日本には重篤な副作用に対する救済制度がありますが、これは日本国内で認可された薬剤に限られます。個人輸入の製品はこの制度の対象外です。体調不良が起こった際に医師の診察が受けられない場合もあるため、十分な注意が必要です。
ピルの種類のまとめ
ピルの種類は様々あるため、目的に合った種類のピルを服用することが大切です。
種類ごとにどのような効果があるかを事前に確認するようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。